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こいしノート

エッセイ読むのも書くのも大好き人間です、小説も。 

中秋の名月

九月二十二日の、SUMIPINOさんのブログ

http://sumipino1.exblog.jp/24674373/ )

に、ススキ、コスモス、リンドウの生け花と、十五個の団子を四角錐に盛った盆、それを「食べたいなあ」と言いたげな、プードルの写真が載っていました。伝統を風雅に楽しむ、それはとても良いことです。

こいしは、そういったことなしに、ベランダから、薄い雲に遮られ、それでもぼんやり見える月を眺めていました。そうしていましたら、高校時代の漢文で教わった、白居易の詩が頭を過ぎりました。ですが、遠い昔のこと、もう忘れています。なのでネットに頼り、検索しました。

 

銀台 金闝 夕沈沈たり

独宿 相思うて 翰林に在り

三五夜中 新月の色

二千里外 故人の心

渚宮の東面には煙波冷かならん

浴殿の西頭には鐘漏深し

猶恐る 清光 同じくは見ざるを

 

いろいろな訳を参考にしまして、こいし(私)なりに解釈しました。

「赴任したばかりの自分、今晩は一人での宿直。十五夜を見ていると、赴任前に一緒の職場だった同僚が懐かしく想われる。二千里離れている同僚も、この月を眺めながら、私を想っているのだろうか?」

 

こいしも、遠く離れた地方都市に一人で赴任したことがあります。半月も経てば、その地にもう馴染み、夜の街へと繰り出しましたが、着任したては寂しくて、漢詩の登場人物の気持ちが、良く分かります。

「そんなに繊細なの、こいしは」ですって? 

失礼なこと、おっしゃらないで!

 

話が逸れました、戻します。

コンピュータを切り、再び月を見にベランダに出たところ、月はもっと厚い雲に遮られ、どこにあるかも分かりませんでした。

その時、ふと、アンデルセンの「絵のない絵本」(アンデルセン,H.C. 著/矢崎 源九郎 訳 新潮文庫 ISBN 978-4-10-205501-4)

を、思い出しました。

 

ですが内容、これもまた忘れています。なので、本箱から探し出し、読み返しました。とてもファンタスティックなので、大筋を記します。

 

貧しい画家が、故郷を離れて大都会の屋根裏部屋で寂しく暮らしています。ある夜、月が画家に話しかけました。それからは夜毎訪れ、自分(月)が見てきたことを話します。画家はその話を三十三巻にまとめました。その一つはこのような話です。

 

重い雲が空一面にたれこめ、月は見えない。画家はそれでも眺めていた。そうしているうち、月が聞かせてくれた、ノアの大洪水の時の話(注1)

イスラエルの人民が泣きぬれてバビロンの河辺に立った時の話(注2)

ロメオが露台の上によじ登った時の話(注3)

セント・ヘレナの島に幽閉されたナポレオンが荒寥たる岩頭に立って、胸に勇志を抱きつつ、大海原を眺めている時の話(注4)

などを思い出していた。

 

その頃、雲の隙間から、一すじの月の光が射した。だが、すぐまた黒い雲が光を遮った。その瞬間、画家は信じた、一すじの月の光は、僕に送ってくれた、やさしい晩の挨拶だったとの。

  

こいしが名月を見たのは、ほんの数分でした。ですがそれにより、現実を離れた気分になりました。こういった月見も良いものですね。

皆様は、どのような想いで、見ていられるのですか? お逢いできた日には、ぜひ、お聞かせ下さい。

  

(注1)旧約聖書に語られている伝説。人類の堕落に怒った神が起こした洪水。信仰心の篤い「ノア」だけは妻子と共に箱舟に乗って難を逃れた。

(注2)イスラエルは新バビロニアネブカドネザル二世によって滅ぼされ、住民の大部分が捕虜としてバビロンに移された。

(注3)シェークスピアの戯曲「ロメオとジュリエットの中の有名な場面」

(注4) ナポレオンは、セントヘレナの島に幽閉され、この地で病死。

 

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 絵のない絵本の表紙です

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