こいしノート

エッセイ読むのも書くのも大好き人間です、小説も。 

「水虫」と「かぶれ」は大違い  たった五分で

一週間前、左足の指が、むず痒かったが、ほっぽっておいた。

その五日後の夜は風雨が強く、ところが、朝になると雲一つない。それを見て、ハイキングに行きたくなり、天覧山(てんらんざん)を経て、多峯主山(とうのすやま)へ登ることにし、朝食もそこそこにリュックを背負った。

天覧山から、里山を少し進むと「飯能笹(牧野富太郎博士が発見、命名)」が群生し、また、常盤御前義経を追って東國へ向かうさい、あまりの景色の良さに何度も振り返ったという伝説がある「見返り坂」に着く。

そこまで来た時、ほっぽっておいた足の指が、ずきずきし始めた。見ると、二指と三指の根もとの皮膚が裂け、血が滲み、他の指もそれに近かった。それで慌てて、手持ちの水で洗い、タオルで拭き、その後、足を引きずりながら、多峯主山を目指した。

奥多摩、奥武蔵の山並を眺めながら、ビールとサンドイッチを口にするも、痛みが気になり、二十分もしないうち、下山。

県道へ出ると折り良く、薬屋があったので、老いた店主に症状を話した。すると

「水虫のようですね、これが良く効きますよ」

と言い、棚にある一番大きな箱を差し出し、さらに続けた。

「水虫は、白癬菌が皮膚の奥に深く入っていますから、治るのに日数がかかります。ですから、小さな箱では量的に足りません。これは三倍入っていて、お金は半分ちょっとです。ですから割安です。それと患部は良く洗って、それから塗ってください、たっぷりとね」

と、親切だ。

割安の言葉にまったく弱い、こいし(私)、千六百円を手渡し、それから、水道を借り、患部を徹底的に洗い、十分すぎるほど塗った。ひりひりするが、それは治る前兆、快感すらあった。

 

それから一週間、一日四回、患部を良く洗い、塗り込んだが改善しない。それどころか、足の裏にも症状が出てきた。疑問と不安が湧き、皮膚科を訪問した。

 

医者は一目見て

「これは水虫ではなくって、たんなる『かぶれ』ですよ。軟膏を貼付(ちょうふ)しておきます。処方箋を書きますから、薬局で買って塗ってください。四日もすれば、良くなります。それと患部は、ごしごし洗わないように」

診察時間は、たったの五分。でも夜には、痛みがもう取れていた。

 

薬屋の、おやじ(店主)を責める気は毛頭ないが

「信用しすぎたなあ、一週間、痛かった分、損したなあ」

 治癒した指を眺めながら呟く、昨今のこいしである。

 

 

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 天覧山 南側の風景です

  

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 見返り坂あたりの風景です

  

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 多峯主山 良い天気です

  

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 多峯主山 西側の風景です 冬の快晴日には富士山が見えるそうです

 

 

 

 

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