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こいしノート

エッセイ読むのも書くのも大好き人間です、小説も。 

私 ミモザ 来春も見てね

「お隣の河津さん(※二月八日のブログ「言わずもがな」の河津桜のこと)が終わったら、出番は私、シルバーグリーンの葉に、黄色い小さな丸い花、可愛いでしょう、綺麗でしょう、見てちょうだい」と、ミモザ

 

こいし(私)の家から北へ二百メートルほどの所に、薄グリーンのしゃれた老人ホームがある。そこに居住する、婦人と付き添いの人が、散歩のさい、我が家のミモザを見て、このような会話をしていた。(※声だけなので、どちらの言葉だかは分かりません)

「今年も見られたわ、良かった」

「昨年より、一回り大きくなったみたい。花つきも多いようだわ。来年も楽しみね」

「この花の花言葉、知っていますか?」

「いいえ」

「優雅、友情よ。でもね、秘密の愛、秘めたる恋というのもあるの」

「風で揺らいでる姿は、とても優雅だわ。小花が枝に仲良くくっ付いていて、友情も分かるわ。でも、派手な黄色でしょう、秘密の愛とか恋は、どうしてかしら?」

「そうだわね、お花に詳しい、園長さんに帰ったら、聞いてみましょう」

 

十年ほど前、園芸店の見切り品コーナーで、丈が30センチ、太さが2センチぐらいで、今にも枯れそうな「ミモザ」を、目にした。値札にはラベルが三枚、重ねて貼ってあり、最後のそれは百円だった。

今日、売れなければ、明日には処分?

そう想像すると哀れになり、買ってしまった。そして、門の横の小さな空間に植え、二週間後、肥料をたっぷり与えた。

日当たりが良いことと、月一度の肥料が効いたようで、ぐんぐん背丈が伸びた。だが、幹は太らない。

(※ミモザに肥料を与え過ぎると、このようになると後日、教わった)

 このような、ひょろひょろでは自立は無理、そう判断し、一本はフェンスから、もう一本はベランダから紐で固定した。

ミモザの小枝は弱く、台風時には多く折れる。雪が降れば降ったで、積もる雪の重さに耐えられず、大枝も折れる。なのでそのような日は一日中、雪掃いを強いられる。

こいし、もう歳、それが大儀になったので、除去を決めた。でも、実行できなかった。花芽を見てしまい、せめて来春、咲かせてから、そう思ったので。

 

その花芽が今、満開なのである。ホームの婦人と付き添いの人が

「今年も見られたわ、良かった」

「昨年より、一回り大きくなったみたい。花つきも多いようだわ。来年も楽しみね」と、先ほど話していた。

 この言葉は「私、咲き終ったら切られるの。私、もっと生きたいの。私、喋ることが出来ないの。ホームのお二人、どうかお願い、こいしに切らないでって伝えて」

ミモザのその気持ちを代弁した? そうも思えてきて、それで除去に迷いが生じた。

 

 翌夕、近所の酒飲み友達から、俺の家で一杯やろうと誘われた。飲むうち、ミモザを切る、切らないで悩む話をした。すると

「先が短い人が楽しみにしているのに、ばっさりはないよ。それと近所の人たちだって、春一番を楽しみにしていると思う。雪で折れたって、翌年は新梢が出てくるよ。切るの、賛成しないね」

奥さんも「そうよ、そうよ、私も反対、切ったらもう飲ませない、縁切るわ」と、圧力。

「えっ、切ったら飲ませてくれないの? 縁切られるの? それ、死ぬより辛い、言うとおりにします」

「それで良いのだ、さあ、もう一杯」

一杯が二杯、二杯が三杯、帰りに見上げた星は揺らいでいた。

 

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幹が細いでしょう           拡大しました

 

 

「付 録」

 ごく近い知人から、双子の「シンビジューム」を頂きました。双子の妹、とても綺麗なので、皆さまに見て頂きたく、載せました。姉はまだ、お休み中。

 

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 妹です                姉です

 

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