こいしノート

エッセイ読むのも書くのも大好き人間です、小説も。 

はな子の お別れ会

私は、九月三日に催された「アジアゾウはな子のお別れ会」に参列し、関係者の思いやりと優しさに心を打たれました。

最初のは、市長が挨拶した中で、はな子を「はな子さん」と、呼んだことにです。

 

園長は「特設展示 はな子の69年」の挨拶文に、こう書いている。

「平成二十八年五月二十六日、アジア象の、はな子が死亡しました。こう書くと間違った表現のようで『死亡』とは人にたいして使う言葉であり新聞などのマスメディアでは動物は『死んだ』が使われるそうです。

しかし私は敢えて死亡という言葉を使います。なぜならはな子は紛れもなく『人』と生き、『人』が運命を変えてきた69年の『人生』だったからです(以下略)」

市長も、同じ思いだったのでしょう。

 

奥方を呼び捨てにする亭主関白殿、市長を見習い「さん」を、つけたらいかが? 

「馬鹿、言うな! 男がすたる! こけんにかかわる!」

まあ、そうおっしゃらず、言ってみたら? 

奥方、たちまち頬がピンクになって、晩酌の一合が二合、三合に。そして「今日は私も飲みたいわ、ねえ、注いで」と、しなだれかかるかも。

 

つい、おせっかいを言いました、話を戻します。

市長の優しさは、飾り気なく歌った「ぞうさん」の替え歌です。

「はな子さん はな子さん ほんとうにありがとう どうぞ ゆっくり おやすみなさい」

(元歌、まど・みちお作詞、団伊玖磨作曲)

 

食事の担当員の話にも、思いやりが、いっぱいだった。配布された冊子に、六十九歳を迎えた頃の、はな子の食生活(一日分)が、載っている。

「お結びにした麦ご飯(6kg) バナナ(18kg)リンゴ(2kg) ニンジン(2.5~3kg) 小松菜(1.5~3kg) キャベツ芯を抜き、6~8等分に切る(10kg) 黒糖湯(36ℓ) 黒糖(2kg) 食パン(10斤)」

 

季節ごとの、果物と野菜も載っている。

「スイカは皮を取り除き、食べやすいサイズに切って(一日一個) ナシは乱切りにして(1日2kg) カキは8等分に切り(1日1kg) モモは缶詰で、シロップが嫌いなので水洗いし、水を切り(1日3~4缶)」

 

この他、自然文化園で採った、ドクダミヤブガラシハコベハナダイコンカラスノエンドウなどなど、合わせて一日5kg。(※効果は文末に書きました)

毎日毎日の尽力、仕事とはいえ、思いやりと愛情なくしてはできないと思う。

 

はな子の像が現実になった。つい最近の新聞に、こんな文が載っていた。

「死には二つがあって、一つは生命が絶たれた時、もう一つはその事実を知る人の皆が死んだ時」

そうであるなら、はな子の像を見る人が存在するかぎり、はな子は生き続ける。戦争で、日本が破壊されなければの話しだが。

 

はな子の遺体は、国立博物館に寄贈され、学術研究に役立てられるという。死してなお世に貢献する、はな子 ありがとう、そして安らかに。

 

(※)配布された冊子より

「ヤブカラシの根は「烏歛苺(うれんぼ)、ドクダミの茎や葉は「十薬」という生薬になり、烏歛苺には利尿、解毒、鎮痛などの効果があり、十薬を煎じた液には、利尿作用、動脈硬化の予防作用あるということです。

年老いた、はな子にとっては、どちらも体に良さそうです。まるではな子が、その効果を知っているかのようですね」

 

 

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 お別れ会のポスター

 

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  献花の列

 

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  無邪気に遊ぶ はな子(配布冊子より)

 

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 写真集(配布冊子より)

 

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 お別れ会のお土産

  

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