こいしノート

エッセイ読むのも書くのも大好き人間です、小説も。 

酒は百薬の長といへ(え)ど・・・・・・

今年に入って左足の付け根に軽い痛みを感じた、三月になってもだ。そんなある日、京都に住む、旧知の画家が

「僕のアトリエに来ないか? 新作や、値切って買った掘り出し物、見てよ。そして、京都らしい雰囲気の店で飲もうよ」

と、誘惑の電話を寄こした。

甘い言葉に負けて訪問し、絵と収集品を見、その後、銀閣寺通りにある、老舗の料理屋で痛飲した。

「次は東京で」そう約束し、こいしはタクシーに乗り込んだ。そのおり、座席に着こうとした、その瞬間、前日までのとは違う、錐(きり)で刺されるような痛みを感じた。そしてそれは、一過性でなく、翌朝までもだった。

京都に行くなら、若き日に一人歩いた北嵯峨へも、と決めていたので、痛む足を引きずり、引きずり「化野の念仏寺」まで、どうにか来た。でももうそれが限界、「祇王寺」は止めにして、急ぎ帰京し、家近くの外科医を訪ねた。

医者はレントゲンの画像に指し棒で指し、こう言った。

「股関節は問題ありません。この腰椎と次ののとの間に、少し隙間があります、分かります? これが原因です。ラジオ体操でもして、筋肉をつければ治りますよ。緩和剤を四十日分出しますから、それで様子見ですね」

 

一週間ほど服用すると、痛みは治まった。しかし、薬でなのか、ラジオ体操の効果でなのか、判断できない。そこで薬を中断してみた。すると半日後、再び痛み。

ラジオ体操で股間の筋肉が、そう簡単に鍛えられるとは、とても思えない。それ以外の強化法を聞きに、再訪門した。だが、前回同様の言葉だけだった。この人では埒(らち)が明かない。薬が無くなり次第、しっかりした病院へ行くことにした。

 

その二週間後、こいし、大腸憩室炎で大出血し、八日間の入院を余儀なくされた。不思議なことに、その間、痛みがなかった。

(※入院中、常時服用する薬と、痛み止めは医師の指示により、飲まず)

 

それから十日後「温泉に浸かったら、和らぐ?」ふと、思った。善は急げ、三日後、実行した。泊まったホテルの夕食はバイキングで、アルコール類は飲み放題。なので、酒に意地汚い、こいし、制限時間ぎりぎりまで飲んだ。熟睡した翌朝、強烈な痛みに襲われた。帰路、車窓から過ぎ行く景色を見やりながら、こんなことを思った。

 

「京都の酒処で痛飲した帰り、タクシーに乗り込むとすぐ、痛んだ、翌朝もだ。

昨夜は生ビールとウイスキー、仕上げに日本酒を、ほろ酔い気分になるまで飲んだ。熟睡した今朝、痛みが酷かった。

だが、大腸憩室炎で入院した八日間は、薬を飲まなくても痛まなかった。ということは、酒と筋肉痛、そこには因果関係があるのでは?」と。

これを検証しようと、七日間ほど酒を断ってみた。その結果、多少の違和感はあるものの、痛みは消えた。

 

「酒は百薬の長」との説がある。それなのに、どうして筋肉痛になる? 

そのことを、尊敬する知識人に電話で尋ねた。すると笑いながら

「その後があるんだよ。酒は百薬の長といへ(え)ども、満(よろず)の病は酒よりこそ起(くれ)、とね」

吉田兼好の「徒然草」の百七十五段を暗証した。

 

こいし、血圧や、肝臓のガンマ値、コレステロール値が上がり気味、このさい、晩酌を止めることにした。しかし、長年の習慣、三日坊主になるかも。

      

 ※今回のエッセイはユーモアがありませんでした

なので・・・・・・ 

 

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 人面カメムシ             人面トイレ

 ※「ミニ観だより」より        中野区のある公園のです

 

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